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大阪地方裁判所 昭和49年(わ)285号 判決

一、本店所在地

大阪市東成区大今里南一丁目一〇番七号

商号

株式会社上田電機百貨店

代表者

上田英次

二、本籍

大阪市東成区大今里三丁目一六八番地

住居

大阪府松原市阿保四丁目一五番二八号

職業

株式会社上田電機百貨店代表取締役

氏名

上田英次

昭和三年一二月九日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官安部正義出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社上田電機百貨店を罰金一、二〇〇万円に、被告人上田英次を懲役六月に各処する。

被告人上田英次に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社上田電機百貨店は、大阪市東成区大今里南一丁目一〇番七号に本店をおき、電線・電機機械・電機器具類の販売等の事業を営んでいるもの、被告人上田英次は、右会社の専務取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人上田英次は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人株式会社上田電機百貨店の昭和四五年二月一日から昭和四六年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が一二一、六八八、五八〇円で、これに対する法人税額が四三、一七八、八〇〇円であるのにかかわらず、決算に際し、いつたん帳簿にもとづく決算書案を作成した後申告所得額を決め、これにみあうように貸借対照表及び損益計算書の各勘定科目の金額を適宜増減し所得を過少に計上した決算報告書を作成するなどの行為により、右所得金額のうち七二、八六八、八八六円秘匿したうえ、昭和四六年三月三一日、大阪市東成区所在東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四八、八一九、六九四円で、これに対する法人税額が一六、四〇六、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により法人税二六、七七二、五〇〇円を免れ、

第二、被告人株式会社上田電機百貨店の昭和四六年二月一日から昭和四七年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が五五、八四二、三五四円で、これに対する法人税額が一七、九四二、一〇〇円であるのにかかわらず、受取手形の手形金を簿外で取立て仮名の定期預金に預け入れたほか、前同様の行為により、右所得金額のうち二一、一九六、二六二円を秘匿したうえ、昭和四七年三月三一日、前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三四、六四六、〇九二円で、これに対する法人税額が一〇、一六三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税七、七七八、八〇〇円を免れ、

第三、被告人株式会社上田電機百貨店の昭和四七年二月一日から昭和四八年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が一〇一、九八五、四〇七円で、これに対する法人税額が三五、三一三、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち五二、八六九、三四二円を秘匿したうえ、昭和四八年三月三一日、前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四九、一一六、〇六五円で、これに対する法人税額が一五、九〇八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一九、四〇四、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人会社代表者及び被告人上田英次の当公判廷における供述

一、被告人上田英次の検察官に対する供述調書

一、同人の収税官吏に対する質問てん末書九通

一、同人作成の昭和四八年一二月三日付上申書

一、同人作成の同月二一日付確認書

一、登記官作成の昭和四九年四月二四日付商業登記簿謄本

一、被告人会社代表取締役上田徳次郎作成の証明書

一、木村喜久夫の検察官に対する供述調書

一、同人の収税官吏に対する昭和四八年六月一九日付、同月二〇日付、同年八月三一日付、同年九月五日付、同月六日付、同年一二月四日付、昭和四九年一月二一日付各質問てん末書

一、東賢一、河村正武の収税官吏に対する各質問てん末書

一、収税官吏松浦義雄外四名作成の仕入関係調査書

一、収税官吏鈴木滋作成の貸倒金関係調査書

一、収税官吏松浦義雄外三名作成の銀行関係調査書

一、収税官吏鈴木滋作成の調査元帳

判示第一、第三の各事実につき

一、木村喜久夫の収税官吏に対する昭和四八年一〇月一日付、同年一一月二四日付各質問てん末書

一、上村正勝の収税官吏に対する質問てん末書二通

判示第一の事実につき

一、東成税務署長作成の証明書(但し、昭和四六年三月三一日税務署長に申告した法人税申告書写に関する分)

一、吉成平次郎作成の昭和四八年六月一九日付確認書

一、収税官吏鈴木滋作成の総勘定元帳再集計調査報告書(但し、検察官請求証拠目録番号31の分)

一、収税官吏松浦義雄外四名作成の売上関係調査書

一、収税官吏鈴木滋作成の総勘定元帳再集計調査報告書(但し、検察官請求証拠目録番号36の分)

一、押収にかかる総勘定元帳(但し、昭和四五年二月から昭和四六年一月までの分)一冊(当裁判所昭和四九年押第三三九号符号一)

判示第二、第三の各事実につき

一、鈴木隆二、掛川喜正外一名、長沢久雄各作成の確認書三通

判示第二の事実につき

一、東成税務署長作成の証明書(但し、昭和四七年三月三一日税務署長に申告した法人税申告書写に関する分)

一、吉成平次郎作成の昭和四八年九月八日付確認書

一、安本重徳、相田孝三各作成の確認書二通

一、収税官吏鈴木滋作成の総勘定元帳再集計調査報告書(但し、検察官請求証拠目録番号35の分)

一、押収にかかる総勘定元帳(但し、昭和四六年二月から昭和四七年一月までの分)一冊(当裁判所昭和四九年押第三三九号符号二)

判示第三の事実につき

一、東成税務署長作成の証明書(但し、昭和四八年三月三一日税務署長に申告した法人税申告書写に関する分)

一、木村喜久夫の収税官吏に対する昭和四八年一〇月九日付質問てん末書

一、大島善夫作成の確認書

一、収税官吏鈴木滋作成の総勘定元帳再集計調査報告書二通(但し、検察官請求証拠目録番号33、39の分)

一、押収にかかる総勘定元帳(但し、昭和四七年二月から昭和四八年一月までの分)一冊(当裁判所昭和四九年押第三三九号符号三)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為は、いずれも法人税法一五九条、七四条一項二号(法人である被告人会社の処罰につき、なお一六四条一項)に各該当するところ、被告人会社に対しては以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内において被告人株式会社上田電機百貨店を罰金一、二〇〇万円に処し、被告人上田英次に対しては所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段の併合罪であるから同法四五条前段、四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、諸般の情状に鑑み同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間同被告人に対する右刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

昭和四九年八月一〇日

(裁判官 橋本達彦)

右は謄本である。

昭和四九年一一月一日

大阪地方裁判所第一二刑事部三係

裁判所書記官 田村剛

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